行政書士のオフィス開設について
行政書士になるためには、事務所が必須となります。
行政書士事務所は、自宅か賃貸どっちにしようかな?と考える前にいくつか必要な開業要件も確認しておきましょう。
最寄りの行政書士会に聞いてもOKですが、行政書士法を見ると事務所の要件が書いてあります。行政書士法の第8条第1項にあります。
(事務所)
第八条 行政書士(行政書士の使用人である行政書士又は行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士(第三項において「使用人である行政書士等」という。)を除く。次項、次条、第十条の二及び第十一条において同じ。)は、その業務を行うための事務所を設けなければならない。
2 行政書士は、前項の事務所を二以上設けてはならない。
3 使用人である行政書士等は、その業務を行うための事務所を設けてはならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC1000000004
オフィス開設の手続きと必要書類
行政書士事務所を開設するにあたっては、下記のような要件(ルール)もありますので、いくつか抜粋します。
- 「守秘義務を保てる」「職務を遂行できる」場所であること
- 居住スペースと事務所が明確に区別されていること
- 机、イス、応接セット、複合機、パソコン、電話、保管庫などが揃っていること
- 賃貸物件を利用する場合は賃貸借契約書や使用承諾書の提出が必要な場合がある。
- 相談者や依頼者が行政書士事務所とわかるように、行政書士事務所の名前には、「行政書士」の文言を入れる必要がある
なかなか細かいですね。行政書士のルールの細かさは他の士業に比べると厳しい気もしますが、ルールなので仕方ありません。
また、事務所名は「わかりやすさ、電話で名乗るときの言いやすさ、お客さんの覚えやすさ、SEO的に優れた名称」などを考慮してできる限りシンプルなものにしましょう。
県内で同一名称の使用はSEO的にはやめておいたほうが良いでしょう。
開業時の手順については、こちらの開業費用についての記事もご参考ください。
2022年あたりから、レンタルオフィスや自宅兼事務所の申請が厳しくなったという話も聞きます。
とある県の書士会では、レンタルオフィス使用の事前確認が入るそうです。指導委員が適格性を見ることもあるのでレンタルオフィス契約前に電話で自分が所属している行政書士会に確認しましょう。自宅兼事務所もNGだった人がいたので気をつけましょう。
行政書士事務所 賃貸オフィスとレンタルオフィスの比較
- 場所や広さによる費用の違い
-
都心部や交通の便の良い場所ほど、賃貸費用が高額になる傾向があります。そのため、少し離れた場所や、交通の便が悪くても費用が安い場所を選ぶことで、費用を抑えることができます。また、広さによっても費用が異なるため、ワンルームぐらいの必要最低限の広さを確保することが大切です。
- 共同オフィスの利用
-
共同オフィスを利用することで、事務所の賃貸費用を抑えることができます。共同オフィスは、複数の企業が共同で利用するオフィススペースで、必要な設備やサービスが揃っているため、事業の立ち上げ期間や、少人数での事業展開に適しています。
行政書士の場合は、司法書士や税理士の事務所の一角を間借りしたり、先輩行政書士のオフィスを共同で使う人もいます。
- 内装や設備の最低限の揃え方
-
事務所の内装や設備についても、必要最低限のものを揃えることで費用を抑えることができます。例えば、必要な機器や家具以外は、後から必要になった時に購入するなどの方法があります。また、必要な設備やサービスについては、クラウドサービスを利用することで、費用を抑えることができます。
自宅事務所を開業
自宅で開業するメリットはお金がかからない点です。
開業時は案件もないですし、半年は収入0が当たり前なので支出が抑えられるメリットは大きいです。
ただ、賃貸だと大家さんの了承を得なくてはいけませんし、そもそも居住用賃貸だと事務所との兼業がNGのところも多いです。
他にもデメリットとして、お客様を呼びずらいのと、手紙や書類などが自宅に郵送されるのでお客様の機密書類や申請書類の管理が大変になります。家族や同居人がいる場合は、自宅と事務所を分けたほうが仕事がやりやすいと思います。
メリット
- 賃料がかからない:自宅で事務所を開設することで、賃料や光熱費などの経費を節約できます。
- 通勤時間が短い:自宅で働くことで、通勤時間が短縮され、労力と時間が節約できます。
- プライベートと仕事の両立:家庭や子育てと仕事の両立がしやすくなります。
デメリット
- プライベート空間の侵害:仕事場と生活場が一緒になるため、プライベート空間が狭くなります。
- 集客力が低い:自宅で事務所を開くと、立地や外観の魅力が低いため、集客力が低くなる可能性があります。
- 近隣住民とのトラブル:騒音や駐車場など、近隣住民とのトラブルが発生する可能性があります。
バーチャルオフィスは認められていない
司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁護士」はバーチャルオフィスが許されていますが、行政書士事務所は、バーチャルオフィスはNGとなっています。
理由としては「バーチャルオフィスは事務所の実態がない」ということみたいで、事務所としては認められていません。
賃貸オフィスのメリットとデメリット
レンタルオフィスについては、基本OKなのですが「鍵がついた書類保管庫、鍵のついた個室、デスク」が必要になります。
行政書士には守秘義務もありますし、民事の法務を扱う場合は秘密厳守になるので、ある程度の仕切りで区切られた場所が必要になるからです。
例えば、コワーキングスペースのようなフリーアドレスで個室になってない場所や、半分ぐらいのパーティションがあるだけだと、個室とは呼べず認められない可能性は高いので注意です。
(行政書士支部によって違う可能性があるので詳細は行政書士会にお問い合わせください)
この要件は、地域の行政書士会によって異なりますが、事務所の調査にくるところもありますし、事務所の内部写真を送るので誤魔化すことはできないです。
また、賃貸借契約書や事務所としての使用許可書を提出するところもあるので、借りる前によく確認しておきましょう。
メリット
- 集客力が高い:良い立地や外観を選べば、集客力が高くなります。
- プロフェッショナルなイメージ:賃貸事務所であれば、一般的にプロフェッショナルなイメージが与えられます。
- 仕事とプライベートの区別:仕事場と生活場が分離されるため、仕事とプライベートの区別がしやすくなります。
デメリット
- 賃料がかかる:賃貸物件を利用するため、賃料や光熱費などの経費がかかります。
- 通勤時間が長くなる:自宅から事務所まで通勤するため、通勤時間が長くなります。
- 契約期間や条件:賃貸契約には期間や条件が設定されており、柔軟性に欠ける場合があります。
レンタルオフィスの一覧
wework、bizcircle、リージャスといったレンタルオフィスを使ってる人もいました。
どこも高いので開業直後は厳しいかもしれませんが、拠点が多くて会議室があるレンタルオフィスは良さそうですね。
オフィス | URL |
---|---|
WeWork | https://www.wework.com/ja-JP |
ビズサークル | https://bizcircle.jp/ |
リージャス | https://www.regus-office.jp/ |
サーブコープ | https://www.servcorp.co.jp/ja/ |
WAW | https://work-and-wonder.com/ |
ビズコンフォート | https://bizcomfort.jp/ |
HUB | https://thehub.nex.works/ |
ワークスタイリング | https://mf.workstyling.jp/ |
ビジネスエアポート | https://business-airport.net/ |
ビズスマート | https://www.biz-smart.jp/ |
エキスパートオフィス | https://www.expertoffice.jp/ |
行政書士共同事務所・行政書士合同事務所
他の行政書士と一緒に共同事務所を借りることも可能です。
また、司法書士や税理士と一緒に事務所を借りて合同事務所という形態をとることもできます。
賃料が折半等になるので、固定費を抑えてリーズナブルに開業ができます。同じ事務所に他士業がいる場合は、連携がしやすくなるため合同事務所のメリットは大きいですね。
数は少ないですが、使用人行政書士として、行政書士法人に参加して一緒に働く人もいます。この場合は事務所が不要なので社員として就職するのと同じ感覚で始められます。未経験者にはノウハウも学べてお給料がもらえるのでメリットは大きいですね。
行政書士事務所開設のまとめ
- 予算:自宅で事務所を開設する場合は賃料がかからず、経費を抑えられますが、賃貸物件の場合は賃料や光熱費などのコストが発生します。予算に合わせて選択してください。
- 立地:賃貸物件は立地やアクセスが良いことが多く、集客力が高くなります。自宅で開設する場合、立地や集客力が低くなる可能性があるので注意が必要です。
- プライベートと仕事のバランス:自宅で事務所を開くと、プライベートと仕事の両立がしやすくなりますが、仕事とプライベートの区別が難しくなることもあります。賃貸物件では仕事とプライベートが分離されますが、通勤時間がかかることを考慮してください。
- 事業の拡大:事業が拡大する可能性を考慮して、将来的にスペースや設備が十分かどうかを検討してください。賃貸物件の場合、契約期間や条件が設定されているため、事業拡大時に柔軟に対応できるかどうかも重要です。