日本では利用者はあまりいませんが、海外で人気のRemNoteというツールをしばらく使ってみたのでその評価とレビューをしてみたいと思います😀
RemNoteは、2021年にリリースされた新しいノートアプリです。
海外では、大学生や医学生、研究者などが勉強や仕事の整理ツールとして使っています。TODOやタスク管理、日記も作れますがそっちはおまけ的な感じです。
まだ日本語版はなく、言語を日本語にすると気持ち程度に翻訳されてます。RemNoteの良いところは、ユーザーの意見を聞きながら、頻繁にバージョンアップしているところですね。現在の1.14ではUIもかなり洗練されて使いやすくなりました。
RemNoteの使い方
RemNoteの画面はこんな感じです😉
左が階層化されたカテゴリで、フォルダとドキュメントを作成できます。
真ん中はアウトラインプロセッサーのドキュメント部分です。階層化されてて、Tabで階層を下げたり上げたりとインデントできます。
右側はPDF画面でアノテーション(注釈)をつけたり、PDFから文章をコピペして、真ん中のノートに張り付けられます。貼り付けたアノテーションをクリックすると、右側のPDFのオリジナル部分を頭出しできて便利。
アウトライン形式のメモ
情報を階層的に整理して、思考をわかりやすく可視化できるアウトラインプロセッサー。文字だけでなく画像やPDFも併せて管理できるのが特徴です。
Ankiを超えたフラッシュカード
みんなが使ってる理由の一つがこれ。
日本ではAnkiという暗記アプリが人気ですが、それと同等かそれ以上のことができます。暗記したいものをフラッシュカードとして登録して反復することで記憶の定着を促進できます。
Ankiと同じアルゴリズムも備わってるので、エビングハウスの忘却曲線に基づいて、最適なタイミングで復習できる感じになってます。
さらに、最新のバージョン1.15から追加された機能が便利。
試験日までにやるべきフラッシュカードを自動的にスケジュールしてくれるようになりました。
PDFの注釈付けとメモ機能
実はこのPDFのアノテーション機能が一番便利。他のツールではあまり見たことがありません。
例えば、教科書をPDF化してRemNoteにアップロードして、PDFから見出しや文章をコピペして自分の思い通りにアレンジできます。文章にハイライトやメモをつけてもOK。
RemNoteでは、PDFドキュメントを直接アップロードし、注釈を付けることができます。
重要なテキストをハイライトして、直接関連するノートやフラッシュカードにリンクさせれば理解を深めることが可能です。
CSSカスタマイズ
見た目をCSSを使ってカスタマイズできます。
デフォルトのアウトライン部分の装飾はシンプルなのでカスタマイズ推奨です。
Interface➡Advanced➡Add Custom CSSからCSSコードを追加できますが、公式にあるコミュニティのCSSを参考にしないと難しいです。最低限、ヘッダーの色とフォント設定はしておいたほうがいいです。
.rem-text.rem-header--1 {
text-align: left;
font-size: 20px;
font-weight: bold;
background-color: #3D65B2;
color: #ffffff;
}
div {
font-family: "Noto Sans JP";
}
RemNoteの残念なところ
バージョンアップを重ねてかなり使い勝手もよくなりましたが、惜しい点がいくつかあります。
オフラインで機能ダウン
モバイルアプリ(ipad、スマホ)に限り、画像とPDFがオフラインになると見れなくなってしまう点です。電車の中とか、カフェでWifiがないと文字しかみれないので暗記しようと思っても暗記できなくなってしまいます。
また、ノートPCだと強制的にファイルをすべてローカルにダウンロードできるのでオフラインでもフラッシュカードは使えますし、PDFも閲覧OKです。ただ、PDFのアノテーションができなくなってしまう(エリアアノテーションはできる)のでそこもイマイチ。
RemNoteによる効率的な学習方法のメリット
RemNoteを使って勉強するメリットをいくつか挙げてみます。
スペーシング効果
エビングハウスの忘却曲線でもおなじみですが、人間の脳は、すぐに復習しないとどんどん覚えたこと忘れていきます。
なので、記憶が薄れる前に復習を繰り返えして、長期記憶にもっていかなければなりません。RemNoteのフラッシュカードは下記のアルゴリズムにより復習カードを提示して効率の良い復習期間を提示してくれます。
- 最初は短時間でカードを復習
- 間違えた場合は、復習間隔を短く
- 正解の場合は、復習間隔を長く
スペーシング効果(Spacing Effect)とは、学習する際に情報を一度に集中して学ぶのではなく、間隔を空けて複数回に分けて学習することで、記憶の定着がより良くなるという心理学の現象です。この効果は、短期間に情報を詰め込む集中学習(マスドプラクティス)よりも、長期的な記憶保持に効果的であることが多くの研究で示されています。
スペーシング効果の原理は、学習セッションの間に休息時間を設けることで、学習した情報の処理と整理を促し、その結果、より長期的な記憶に移行しやすくなるというものです。
アクティブラーニング
自分でオープンクエスチョンや穴埋め問題を作成してフラッシュカードを作成することで、自分の言葉でまとめながら考えて学習できるので、記憶の定着率があがります。
セルフレクチャーともいいますが、実際にやってみると難しく時間もかかるので大変です😅
アクティブラーニングは、学習者が能動的に学習プロセスに関与する教育手法の一つです。このアプローチは、受動的な聞き手であるのではなく、学習者が授業の中心となり、議論、問題解決、プロジェクトベースのタスクなどを通じて積極的に知識を構築することを目指します。
双方向リンク
RemNoteは、双方向リンクと呼ばれる機能を搭載しています。これは、カード同士を自由に関連付けることができる機能です。双方向リンクを活用することで、以下のようなメリットを得られます。
- 知識を体系的に整理できる
- 関連する情報を素早く参照できる
- 記憶の定着を促進できる
例えば、いろいろなところででてくる共通の知識(条文や用語など)を書いたら、それをタグ付けして、他の場所からも呼び出すことができます。
双方向に情報をジャンプできるので関連付けがしやすくなってます。
学習の双方向リンクとは、情報や概念が相互に関連付けられる学習プロセスを指します。これは、新しい情報を既存の知識と結びつけることで、学習者が情報をより深く理解し、記憶に定着させやすくなるという原理です。たとえば、新しい単語を学習する際に、その単語が使われる文脈や関連する単語との関連を考えることで、その単語をより効果的に記憶できるようになります。双方向リンクは、情報をネットワークのように相互接続することで、学習効果を高める手法と言えます。
Remnoteと他のツールとの比較
Remnoteは他のツールともよく比較されます。
Obsidianが一番似ているツールで、Obsidianは無料なので使っている人も多いですね。ただ玄人向けなので、RemNoteのほうが直感的に使いやすいイメージがあります。
他にLogseqも比較されますが、こちらも玄人系のツールです。
あとはAnkiですね。
Ankiは昔からあるので使ってるユーザーも多いですね。かなりシンプルなUIで使い勝手は良いです。
ただ、Ankiを使っての問題の作成が大変です。WebでAnkiに問題をインポートして、モバイルと同期して使えますが、その手間を考えると、RemNoteのほうが使いやすいと思います。
RemNote、Obsidian、Logseq、Ankiの比較
RemNote: https://www.remnote.com/
Obsidian: https://obsidian.md/
Logseq: https://logseq.com/
Anki: https://apps.ankiweb.net/
項目 | RemNote | Obsidian | Logseq | Anki |
---|---|---|---|---|
主な機能 | 暗記カード作成、学習 | メモ作成、整理、知識ベース構築 | メモ作成、整理、アウトライナー機能 | フラッシュカードによる学習 |
ファイル形式 | 独自形式 | Markdown | Markdown | 独自の形式 |
データ構造 | ツリー状 | ネットワーク状 | ツリー状 | 単一ノート |
リンク機能 | 双方向リンク | 双方向リンク | 片方向リンク | なし |
タグ機能 | あり | あり | あり | なし |
フォルダ機能 | なし | あり | あり | なし |
プラグイン機能 | 少ない | 豊富 | 少ない | 少ない |
おすすめ用途 | 暗記学習、問題演習 | 知識ベース構築、情報整理 | メモ作成、アウトライン作成 | 暗記学習 |
各アプリの特徴
- RemNote:
- 暗記カード作成に特化したアプリ
- spaced repetition system (SRS) を用いて効率的な学習をサポート
- 数式や画像を埋め込める
- 学習進捗をグラフで確認できる
- コミュニティが活発
- プラグイン機能あり
- Obsidian:
- 自由度の高いメモ作成アプリ
- 双方向リンク機能で知識ベースを構築しやすい
- Markdown形式でメモを作成
- プラグイン機能あり
- Logseq:
- アウトライナー機能に特化したメモ作成アプリ
- Logseq独自のアウトライン形式でメモを整理しやすい
- Markdown形式でメモを作成
- プラグイン機能あり
- Anki:
- 老舗の暗記カードアプリ
Remnoteの料金
円安なので、ちょっと高めの値段になります。
無料プラン
RemNoteは無料プランがあるのでとりあえずお試しできます。お試しだとPDFのアップロードに制限がありますが、基本的な機能は確認できるので十分かと。
プロプラン
プロプランになるとPDFの機能が無制限になります。その他バックアップ機能やフラッシュカードの追加機能などもあります。
- 月額料金: 約8ドル(変動する可能性があるため、最新の情報はRemNoteの公式ウェブサイトを参照してください)
https://www.remnote.com/invite/64f3bac6d6cb335cf16c6612
RemNoteの口コミ
公式から口コミを引用します。日本の学生にも使ってほしい。
ハーバードの医学生、James Lin
私はAnkiのパワーユーザーとして医学教育の旅を始めました。最大の手間は、講義ノートをカードに変換することでした。RemNoteは、他のどんな方法よりもこのプロセスを効率化します。それは、流れを妨げることなく、記憶とカードの作成を促進しながら勉強することを可能にします。これはすべての学生にとって貴重な超能力です!
UBCの学生、Savannah Feder
RemNoteはすぐに私の史上最高の製品の1つになりました。以前は知識ベースにキャプチャされた情報をほとんどすべて忘れてしまっていましたが、今では重要だと思うものを覚える超能力があるように感じます。フラッシュカードを走らせるのも超満足です 🙂 どんな学生にも、RemNoteに切り替えた学期は、半分の努力で最高の成績を収めました。まるで魔法のように機能します 🪄