デジタル庁が発足し、日本でも紙からデジタルへの移行が当たり前になってきました。企業や役所でも脱ハンコや脱ペーパーの事例も見かけるようになり、あと10年もすれば紙の本や教科書がなくなる日がやってくるかもしれません。
今回は、資格勉強をしていて「紙とタブレット」どっちが暗記するのに向いているのか?が気になったので、そのあたりを簡単に調べてみました。
「紙とパソコン」間違いはどっちが見つけやすい?
まずは、リコーの紙とパソコンでの間違い探しについての見解です。
リコー経済社会研究所の見解
リコーによると、カナダのマーシャル・マクルーハン(1911~1980年)を参考にし「紙のほうが間違いに気づきやすい」と述べています。かなり古い実験で、現代と状況がかなり違いますがその内容は以下の通り。
紙に印刷して読むとき、すなわち反射光で文字を読む際には、人間の脳は「分析モード」に切り替わる。目に入る情報を一つひとつ集中してチェックできるため、間違いを発見しやすくなるのだ。
引用:「紙」に印刷すると間違いに気づく理由 | リコー経済社会研究所 | リコーグループ 企業・IR | リコー
これに対し、画面から発せられる透過光を見る際、脳は「パターン認識モード」になる。送られてくる映像情報などをそのまま受け止めるため、脳は細かい部分を多少無視しながら、全体を把握しようとする。細部に注意をあまり向けられないので、間違いがあっても見逃してしまう確率が高くなる。
「間違い探しなら紙のほうが発見しやすいよ」という感じですね。紙優位だけど、時代に合わせてデジタルも活用していこうという締めでした。
間違い探し系の問題には注意
個人的に思ったのは、例えば、宅建試験のように「単語1つの違いで正解・不正解が分かれる」試験の場合、タブレットで問題を解くと間違いを発見しずらくなりそうですね。
難関資格だと「かつ」と「または」の違いのように単語レベルのひっかけが多いので、タブレットで問題を読んでいると飛ばし読みをしてしまい、本来の実力が出せなくなってしまう可能性もあります。
あと、スマホ・タブレットでは文字が小さいので見逃す可能性も高くなります。
これを防止するためには、目だけで問題を読まないで、アップルペンシルなどのペンを使って問題文をなぞりながら読む癖をつけたほうがいいかもしれません。
脳科学者「篠原菊紀氏」による実験
また、脳科学の研究者「篠原」さんは、短期記憶で使うワーキングメモリーについて下記のように述べていました。
・タブレットより紙の資料の場合のほうがワーキングメモリが約11%ほど活発に活動した
・計算の間違い探しも「紙」のほうがサクサク
と書いてあります。
間違い探しはリコーと同じ意見ですが、短期の暗記でも「紙」が若干有利に見えますね。
ただ、篠原さんの実験の結論では『画像的な理解』が得意な人は紙でもタブレットでも差はないと言っているので、画像処理能力が高い若い人が増えてきて、将来的に紙とタブレットの優位性が逆転する可能性は高いかもしれません。
実際、Youtubeでipadを活用して医学部に合格している大学生も結構いますので、進化したデジタルネイティブ世代が大人になった頃には、今の常識が非常識になっている可能性は高いです。
「紙とデジタルのどちらが良いか」という議論は、人によって異なる部分がある。画像派の人にはタブレットが向いているし、「やはり言葉のほうが理解しやすい」という言語派の人には紙が向いている。
引用:そのペーパーレス、本当に正解? 脳科学で解き明かす「紙とデジタルの知的生産性」|日経BizGate
「紙とデジタル」暗記するならどっちがいい?
結局は人それぞれ、慣れの問題という気がします。
小さい頃から「紙」に慣れ親しんできた人には紙がいいし、スマホやタブレットに慣れ親しんできた人にはタブレットでも問題ないという感じですね。
また、30代~40代でも、任天堂スイッチやスマホを使ったゲームに慣れている人は多いので、そういった人はある程度、デジタル脳の土台が出来上がっていて、スマホやタブレットを使った勉強に慣れやすいと思います。
行き着くところは紙とデジタルの使い分け
それぞれの利点を生かして勉強していくのが良いですね。
通勤・通学では重い紙の教科書や問題集を持つメリットは1ミリもありませんから、スマホやタブレットでスタディサプリやスタディングなどの学習教材をメインに使って「概要把握、サクサク一問一答を解く、講義動画を見る」などの速習勉強。
自宅では、紙も併用してじっくり暗記をするという感じで使い分けていくのが良いのかなと。
睡眠には気をつけたい
スマホ・タブレット勉強の注意点としては「睡眠」と「スマホ依存」です。
睡眠の乱れ
ハーバード・メディカル・スクールの研究チームが「寝る前に紙の本と発光する電子書籍端末を読むことを比較」していますが、これによると、「バックライトのついた電子書籍リーダーでは、居眠りに時間がかかり、睡眠の質が低下し、翌朝にはより疲れている」という結果がわかっています。
つまり、スマホやタブレットを使った夜の勉強(特に寝る前)は、紙に比べて睡眠に悪影響を及ぼすのでやめておきましょうということですね。
通勤・通学はスマホ・タブレットで勉強して、自宅では紙中心で勉強するなど工夫していきましょう。
スマホの通知やネットが気になる
スマホやタブレットで勉強していると、ライン通知などが気になってしまって集中できなかったり、ネットを見てしまい勉強が中断してしまう事が多々あります。
受験や資格勉強では命取りになるので、スマホの通知は全部オフにするか、アプリを削除するか、スマホを見えないところ(ポケット以外)に隠しておくなどしておきましょう。