特定行政書士は「行政書士に異議申し立てや不服申立ての権限が付与された資格」です。
行政書士法の改正で新しく作られた制度なので、知らない人も多く正直そこまで実務に役立つことはありません。
しかし、将来的に化ける可能性もあるので、合格率が高いうちに持っておいて損はない資格ともいえます。
ちなみに、この行政不服審査ですが、以前は弁護士のみができる業務でした。平成26年の行政書士法改正から特定行政書士にも行政不服審査法の代理権があたえられたという経緯があります。
裁判手続には、民事訴訟法の知識が必要になるので、民訴の知識を学んだ特定行政書士の資格が必要になるというわけです。
平成27年12月27日に施行された改正行政書士法により、特定行政書士制度が創設されました。 日本行政書士会連合会の会則に定めるところにより実施する研修(特定行政書士法定研修)の課程を修了した行政書士が特定行政書士となります。 特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等、行政庁に対する不服申立ての手続を代理し、その手続について官公署に提出する書類の作成を業とすることができます。
引用:特定行政書士|業務のご案内|愛媛県行政書士会
特定行政書士のメリット
特定行政書士について調べてみると、行政書士でも積極的に取得している人はいませんでした。たぶん、行政機関の人達も認知度は低いと思います。
あと、行政書士会の説明を見ると「入管業務で難民の不認定を受けた場合や、建設業の許可申請で認可されなかった場合の異議申し立てや不服申立て」の例がありましたが、お役所がNGを出した案件に対して、それを覆してOKにするのはかなり難しそうな印象ですね。
ツイッターで行政書士の先生が上げていましたが、認容採決は審査請求全体のわずか5.1%(令和元年度)とのことです。
総務省の行政不服審査法のQ&Aはこちらにありますので気になった方はどうぞ。
行政不服審査法Q&A 行政不服審査法のQ&Aを掲載しています。
引用:総務省|行政不服審査法|行政不服審査法Q&A
特定行政書士の受験数と合格率
特定行政書士の合格率は7割前後です。
年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|
2020年 | 386人 | 263人 | 68.1% |
2019年 | 437人 | 312人 | 71.4% |
2018年 | 467人 | 319人 | 68.3% |
10人中、3人は落ちる試験ですし、簡単ではないのでそれなりに勉強は必要になります。
特定行政書士の取得方法
受講資格は、行政書士の行政書士名簿に記載されている人のみ受験できます。
試験は、まず特定行政書士法定研修を受講(ネットのeラーニング)して、その後の考査を受けて合格すると特定行政書士に認定される流れですね。
8万円の受講費用がかかるのでちょっと高めです。
受講受付:2022年4月1日(金) ~ 6月17日(金)
【講義】2022年8月1日(月) ~ 9月16日(金)
【考査】2022年10月16日(日)
特定行政書士の講義内容
講義は18時間あります。
試験は、四肢択一式 30問:2時間。
19問で不合格、21問で合格したという方がいたので、正答率は70%以上という感じかもしれません。
行政書士試験と被っているので、もし特定行政書士をとるなら合格した翌年にとったほうが楽に取れると思います。法改正があると覚える内容も変わってしまい勉強が大変になってしまうので。
仮に不合格になっても、次年度は考査のみ受験可能なので、再度講義を受ける必要はありません。
当たり前ですが、講義にあった行政法総論、行政手続法、行政不服審査法、民事訴訟あたりを勉強しておくのが王道ですね。
現状では、有効な使い道が見えない特定行政書士ですが、行政書士に合格して余裕がある人は取得しておきましょう。